損失を限定しながら安定した収益獲得を目指すという謳い文句の投資信託「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド(愛称:あんしんスイッチ)」が人気になっているようです。

本当に安心して買うべき商品なのか?確認してみたいと思います。

あんしんスイッチとは?

正式名称は「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド」で、愛称が「あんしんスイッチ」となっています。

アムンディ・ジャパンが設定した損失限定型の投資信託で、プロテクトライン™と呼ばれる基準価額を割り込まない事を保証しながら運用をしてくれる、という商品です。

プロテクトラインのイメージはこのようになっており、基準価額の90%程度を常に保証しながら運用し、プロテクトラインまで下がってしまったらその時点で繰上償還される、という仕組みになっています。(出所:三井住友銀行「あんしんスイッチ」

基準価額とプロテクトラインの関係

投資はしたいけど損失は抑えたい、というニーズを満たす商品、という事で最近かなり注目されていますし、人気になっています。

参考アムンディ「あんしんスイッチ」、設定額が600億円超でバランス型として約10年ぶりの大型設定

あんしんスイッチは投資弱者向けの商品?

結論から言うと、あんしんスイッチは買うべきではなく、このような商品を積極的に薦められたとしたら、カモにされている、と思った方が良いくらいだと、個人的には思っています。

一般的に、

  • 複雑な事をやろうとしたらその分費用がかかるので高コスト
  • リスクとリターンはトレードオフなので、リスクを限定している時点で期待リターンは低い

となるのが普通なのですが、この商品も同様となる可能性が高い商品です。

投資における損失リスクを嫌がる初心者に売りやすく手数料が稼げる、という売り手目線の商品に見えます。

あんしんスイッチの運用コスト

あんしんスイッチの手数料は、年率1.4404%(税込)となっています。信託報酬が年率1.2204%(税込)、保証料が年率0.22%です。

この時点で十分コストが高いのですが、このファンドの運用方針を考えるとさらに割高に感じられます。

どういう事かというと、あんしんスイッチはプロテクトラインを割り込まないようにするため、基準価額がプロテクトラインに近い時は、キャッシュ比率がかなり高くなります。(出所:アムンディ プロテクトシリーズ

運用せずにキャッシュとして寝かせておく分にも、1.4%以上の手数料を払う事になってしまいます。

損失限定したければ、積極的な運用に回す分を自分で調整すれば良いだけなのですから、こんなお金は払うだけ無駄です。

あんしんスイッチの運用実績

あんしんスイッチ自体は設定して日が浅く、あまり参考にならないので、アムンディのフランス本国のファンド「Amundi Protect 90 ESR」の運用実績を見てみます。(出所:Amundi Protect 90 ESR

Amundi Protect 90 ESRのリターン(EURベース)

リターンは、設定来でトータル約20%(年率リターン約2%)となっています。8年以上に渡ってプロテクトラインを割り込んでおらず、一見すると、なかなか優秀に見えます。

しかし、これは投資期間が良いだけです。例えば、同じ期間のDAX(ドイツ株価指数)はEURベースで約2.5倍になっておりトータルリターンにすると約150%(年率リターン約12%)です。

リスクを抑えるために全資産の20%をDAXに連動するインデックスに投資していたとすれば約30%のリターンですから、複雑な事した結果として、低いリターンしか得られなかった、とも言えます。

でも、リスクを抑えた投資がしたい

リスクがないところにリターンはありません。まず、これをちゃんと理解する事がもっとも重要です。

では、あんしんスイッチのように「損失」が発生するリスクを「限定」して投資をしたい場合はどうすれば良いのでしょうか?答えは簡単で、一部の資産だけを投資に回せば良いのです。

例えば、あんしんスイッチに投資する代わりに、その20%を低コストの先進国株式インデックスに連動するファンドに投資する、という事をするだけです。(できれば、状況に応じて投資比率をあげる)

この方法なら、半値になってようやく全体に対して10%の損失です。リーマン級のショックがくると半値以下になる可能性もあるのですが、先進国株式の全部がゼロになる事はさすがに想像もつかないので、プロテクトラインに近い運用が可能です。

これにより運用コストは、年間で約1.4%抑えられます。1千万円の運用を考えていたら、年間14万、10年で140万円の差になってきます。

まとめ

あんしんスイッチは、ヒット商品になっているようで、純資産総額は順調に伸びています。この辺りに、まだ世間一般における投資に対する理解不足、が感じられます。(だから、この商品はまだまだ伸びるでしょうね)

リターンは欲しいがリスクは取りたくない、というのは無い物ねだりに等しく、投資においてはそれぞれのバランスを管理する事がもっとも重要です。

投資のきっかけとして少額で始めるのは止めませんが、営業に言われるがまま全力で投資するのだけは止めましょう。(損失が限定されているという甘い誘いに乗って、無駄な手数料を払わないように)

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