子供が生まれるタイミングで検討する学資保険。学資保険は安全な教育資金の積立方法、というのが一般的に投資をしてない人の考え方だと思いますが、実は必ずしも安全とは言えません。

学資保険を投資目線で評価したうえで、その必要性について改めて考えてみたいと思います。

学資保険とは?

子供の教育資金の確保を目的とした保険です。

  • 毎月一定の保険料を支払う事で、大学進学時など、加入時に決めたタイミングで給付金が受け取れる
  • 給付金は、毎月の保険料の合計よりも少し多くなるのでお得
  • もしもの場合の保障もつけられる(契約者が死亡時の保障など)

というタイプに加入するのが一般的です。

例えば、ニッセイ学資保険のHPにある30歳男性の契約例の場合、

  • 月払保険料13,350円を18年間払い込み(保険料の総額 2,883,600円)
  • 受け取り総額は300万円(返戻率 約104.0%)

となっています。これに加えて、契約者に万が一の事があっても、子供のための教育資金300万円は必ず残せるという安心もついてくる、というのが営業のうたい文句です。

今回はこの契約例をベースにして、いろいろと計算をしてみたいと思います。

学資保険を分解する

万が一の保障=掛け捨ての生命保険と考える

まず、投資商品の利回りとして見るために、万が一の保障を切り離してみます。

掛け捨ての生命保険で300万円の死亡保障であれば500円くらいです。学資保険の場合、自分で払った場合の保険料が積み立てられていくので、万が一の場合に必要な保障額は年々下がっていきます。

従って、この学資保険の中の「万が一に備える」という部分の価値は多く見ても500円という事になります。

先の契約例に当てはめると、毎月12,850円を積立運用する、という事になります。毎月12,850円を18年間積み立てて、300万円にするには、平均利回り約0.86%で運用すれば良い事になります。

定期預金の金利が限りなくゼロに近い現状をふまえると、定期預金よりはだいぶマシとは言えますが、かなり低い水準です。直近の超低金利を反映して2017年4月に保険料などの見直しがあったのも影響してますが、ますます金融商品としての魅力は下がってきてしまっています。

受け取りタイミングを考慮して実質利回りにする

返戻率が約104.0%となっていますが、受け取りタイミングが積立期間の終了直後ではない、というのも実はポイントです。

今回の契約例の場合、18年間積み立てた直後に100万円を受け取り、残り4年間に50万円ずつ受け取るタイプになっています。18年後に300万円に届いている必要はなく、残りの期間も取り崩しつつ運用を続ける事ができます。

これを利回りに換算すると、約0.73%になります。先ほどよりもさらに低くなりましたが、これが投資先として見た場合の学資保険の価値で、非常に低い利回りの投資先という事になります。

グラフにするとこうなります。細かすぎてわかりにくいですが、払い込みが終了したタイミングで、わずかに300万円に届いていません。それでも300万円を受け取れているのは、その後の残高を運用しているから、という事になります。

学資保険の契約例の推移

投資商品として評価する

利回りが低い&固定である

先ほどの計算の通り、現状の超低金利を反映して、学資保険の利回りは非常に低くなってしまっています。リスクが低い投資先を探した場合、利回りの良い投資先はなかなかないので、利回りが低い事自体は仕方ありません。

しかし、問題なのはこの低い利回りで固定である、という事です。この超低金利がいつまでも続く、とは限りません。この先の約20年間の利回りの変動に柔軟に対応できない、という点はこういった保険の大きなデメリットになります。

途中で解約しにくい

途中で解約すると、元本割れを起こす可能性もあり、換金性が低い、というのも資産運用の観点ではデメリットです。

教育資金の準備、という観点においては「何があっても解約しにくい」という点は、見方によってはメリットという場合もありますが、気持ちの問題でしかありません。

保険会社の破綻リスクを抱える

大きな保険会社だから絶対に大丈夫、という事はありません。過去20年を見ても、多くの大企業が破綻をしています。ある程度守られてはいるので、保険会社が破綻してもゼロになるという事はないにしても、目減りするのは避けられないでしょう。

破綻の可能性はかなり低いとしても、いざ起きた場合のインパクトは大きく、先ほどの年率1%に満たないリターンに対するリスクとしては微妙なところです。

学資保険に入らなのであればどうすれば良いのか?

教育資金は別途自分で運用する

1%以上の利回りで運用をできる自信があるのであれば、自分で運用するのが良いと思います。

私の場合は、毎月一定額をNISAを活用して運用しています。ただし、資産管理は、他の運用資産と完全に分けるようにしています。

かなりリスクを抑えたポートフォリオにしており、大きな相場変動があった場合でも、資産が大きく目減りすることがない程度にしています。ターゲットイヤーに合わせる形で、さらにポートフォリオを変更していこうと考えながら運用をしています。

自分で運用する場合に気をつけるべき事は、教育資金が必要なタイミングの直前で暴落相場に見舞われても困らないようにする事、に尽きると思っています。

死亡時の保障は掛け捨て型の生命保険を利用する

おそらく、万が一があった場合に必要な金額は、学資保険の保障額よりも大きくなるはずです。万が一の場合については、必要な金額を想定したうえで、掛け捨て型の生命保険を利用するのが良いと思います。

私の場合は「収入保障保険」に加入する事にしました。受け取れる保険料が、年々下がっていくタイプの保険です。これを選んだ理由は、

  • 教育資金は毎年貯めていくので、年々増えていく
  • 従って、万が一があった場合に必要なお金は、年々下がっていく

という考えからです。

まとめ

現状の学資保険は、リスクの割にはリターンが非常に低い、と言わざるをえません。これは、現状の超低金利という相場環境によるものなので仕方ありませんが、この状況下で選ぶべき投資先ではないと思います。今は買いではない、という事です。

安心を買うつもりで学資保険を選ぶ場合もあるかもしれませんが、生命保険と貯蓄型の低利回りの金融商品である、と定義し直した場合に、本当に加入すべきかはきちんと考えるべきだと思います。

もちろん、強制的に貯蓄ができ、本当に必要な時にしかお金が引き出せない、というのが大きなメリットになる場合もあります。必要か不要かは人それぞれですが、盲目的な選択だけはしないようにしたいものです。

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