年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2016年度の運用実績が公表されました。状況を確認してみるとともに、その運用状況から長期運用に必要な視点を考えてみます。

GPIFの2016年度の運用実績

GPIFの7/7付の発表資料によると、2016年度の運用実績は、

  • 収益率:+5.86%
  • 収益額:+7兆9,363億円

という結果になったとの事です。運用資産額が巨額(約145兆円)なため、非常に大きな収益となっています。
出所平成28年度業務概況書(GPIF)

2期ぶりの黒字で、株式市場の上昇に伴う株式運用益の改善が大きく寄与しています。

ちょっとでもマイナスになると騒がれて、株式で運用している事がなぜか批判にさらされますが、今期の結果を見ると、債券はマイナス、株式が大きなプラス、となっています。

ちなみに、中の人は、そう言った批判には慣れてるそうですw

GPIFの2016年度末までの累積収益額

GPIFの運用開始以降の累積収益額を見ると、運用は山あり谷あり、という事がよく分かります。2年間で15兆円近いマイナスを出している時期もあります。

しかし、全期間のトータルで見てみると、2016年度末までで累積で約53兆円の運用収益を積み重ねています。年率換算で2.89%の利回りです。
出所平成28年度業務概況書

GPIFの累積収益額

もし、GPIFが大きくマイナスを出した時期に、株式投資をやめてしまっていたらどうなっていたか?結果は簡単です。約53兆円という累積収益には遠く及ばない結果になっていたでしょう。

GPIFのポートフォリオ

GPIFの基本ポートフォリオおよび2016年度末の資産構成比はこのようになっています。基本ポートフォリオは、教科書のような比率で、株式:債券=50%:50%、国内:外国=60%:40%となっています。

注意:GPIFが今の基本ポートフォリオにして株式比率を大きく上げたのは平成26年10月~。それまでは株式比率は24%程度

 

このポートフォリオをもう少しだけ詳しく見てみます。

GPIFが平成25年に行った基本ポートフォリオに、各資産クラスごとの期待リターン、リスク、相関係数があるので、それを使って今のポートフォリオの期待リターン・リスクを出してみます。(数値が古いので、国内債券の期待リターンが現状で考えると高すぎますが)

出所年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更を元に独自に計算・グラフ化

資産クラスごとの期待リターン・リスク

現在のGPIFの基本ポートフォリオの期待リターンは約4%、リスクは約11%になります。2016年度は+5.86%なので、期待していたよりも大きなリターンが得られている、という事になります。

一方でリスクについては、今後の運用環境次第では、一時的にマイナス10%は当然のように発生するし、マイナス20%以上もあり得る、という水準です。

マイナス10%なら15兆円近く、マイナス20%なら30兆円近くの年金が一時的に吹き飛ぶ事になります。それまで53兆円を積み上げていても、批判にさらされて株式による運用の是非に関する議論が捲き起こるのは間違いないでしょう。

投資経験がなく、なぜか、株=ギャンブルと思っている人が多い中、マスコミが報道として無駄に危機感を煽る、という構図が目に浮かびます。

まとめ

GPIFは、ポートフォリオの見直しによって、より大きな収益を上げる事に成功してきています。今後、必ず大きな下落のタイミングがあるでしょう。自分自身で資産運用をしている人は、同じタイミングで自分の資産も傷んでいるはずです。あなたはどういう行動に出ますか?

長期投資という観点では、株式が大きく下げた時に急に運用方針を変更して株式による運用をやめてしまう方が悪手であるのが基本です。(過去の経験からは、むしろ株式を買う方が、結果的に成功する場合が多い)

好調な時ほど、リスクを想定した行動が重要です。大暴落が今起きたらどうするか?を考えてみてはいかがでしょうか。

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