平均リターンの「平均」には異なる計算方法がある事はご存知ですか?

「平均」と言われたら、思いつく計算の仕方は普通は一つだと思いますが、実は、算術平均と幾何平均という異なる計算方法が存在しており、計算方法によって数字が変わります。今回はそれぞれの違いと意味を簡単に解説します。

算術平均と幾何平均

一般的な「平均」は算術平均

普通に「平均」といった場合は、算術平均と呼ばれるものを指します。相加平均や単純平均とも呼ばれます。

例えば、94、110、100、103、98の平均は?と言われたら、(94+98+100+103+110)÷5 = 101 と計算しますよね。全部足して個数で割る、という計算方法です。数式にするとこうなります。いつもの「平均」です。

    $$\mu = \frac{x_1+x_2+ \cdots +x_n}{n}$$

掛け算して計算する幾何平均

幾何平均は、相加平均とも呼ばれます。変動率などの「平均」を計算する時によく使われたりします。

幾何平均とは、全部を掛け算してその累乗根を取る、という平均になります。数式としてはこちらです。

    $$\mu_g = \sqrt[n]{x_1 x_2 \cdots x_n}$$

掛け算を同じ回数繰り返した時に全部を掛けた結果と同じになるような平均、と書けばなんとなくイメージがつかめるでしょうか?

先ほどの、いつもの平均である算術平均は、足し算を同じ回数繰り返した時に全部を足した結果と同じ、になっていましたが、幾何平均は掛け算の平均です。

複利運用における平均リターンは?

例えば、ある指数の前年比が、94%、110%、100%、103%、98%と推移する場合を考えてみましょう。5つの数字は先ほどの算術平均の例と同じにしています。当初の指数を100とすると、こんな感じになります。

 年度 指数 前年比
0 100.0
1 94.0 94%
2 103.4 110%
3 103.4 100%
4 106.5 103%
5 104.4 98%

 

では、この5年間での「平均」値上がり率はいくつになるのでしょうか?

算術平均だと101%ですので、まずはこれを「平均」として見るとどうなるかを考えてみます。

5年連続で平均である101%の値上がりが続く事にすると、5年後には指数が105.1になります。これは、表の5年目の104.4になりません。これでは、平均値上がり率として使うにはいまいちですよね?

このような連続する変動率・複利運用などの平均には幾何平均が向いています。

この例では、幾何平均を計算すると約100.86%になります。この値上がりが5年続くとすると、指数は104.4になり、表の5年目と一致します。

グラフで見てみるとこんな感じで、青が元の指数、オレンジが幾何平均の値上がり率が続いた場合の推移となっています。平均値上がり率、と言われた場合にはこちらの方がしっくりきますよね?

このように、複利を前提とする投資における過去の平均リターンとしては、幾何平均を利用する方が優れていると言えます。

算術平均と幾何平均の関係

二つの平均には、算術平均≧幾何平均、という関係が必ず成立します。

    $$ \frac{x_1+x_2+ \cdots +x_n}{n} \geqq \sqrt[n]{x_1 x_2 \cdots x_n} $$

高校の数学の証明問題でも出てきたりするものなのですが、今回は必要ないので証明は省略します。(相加相乗平均の関係を証明する問題。数学的帰納法を使って解く)

算術平均≧幾何平均なので、複利運用の計算において、「幾何平均」のつもりで「算術平均」を使ってしまうと、結果が過大になってしまう事になる、というのがポイントです。

特に、長期の複利運用ではわずかな平均利回りの差が大きな結果の差になるので、計算の前提としている「平均」が何なのかは注意をした方が良いでしょう。

まとめ

平均リターンと一口に言っても、異なる計算方法があり、その数字は異なったものになります。

そして、注意すべきは、

  • ファンドの平均リターンとしても「算術平均」「幾何平均」のどちらも使われている

という事です。算術平均≧幾何平均、なので、算術平均の方が大きくなります。使おうとしている平均の意味を理解していますか?

細かい事は省略しますが、平均リターンを計算する上で「算術平均」が適している場合もありますし、「算術平均」が間違い、という事ではありません。(参考:企業年金連合会・幾何平均

それぞれの平均の意味をふまえて、使い分ける事が重要です。

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