ロボアドバイザー WealthNavi(ウェルスナビ)の手数料は、3千万円以下は1%(消費税別)の手数料が毎年かかってきます。しかも、資産の時価評価額に対してかかってくるので、毎年増えて行く事になります。

この手数料が高いのか、安いのかにについて、自分でWealthNaviと同じような事をしようとした場合と比較してみたいと思います。

長期投資における1%の価値

まず、大前提として、長期投資においては毎年のコストを抑える事は非常に重要で、1%はかなり結果に与える影響が大きいです。

例えば、初期投資30万円・毎月2万円を25年間にわたって積立投資する場合で、年利6%の場合と、手数料が1%かかり実質年利5%で運用する場合では、得られるリターンには以下のような差が出てきます。25年後には200万円以上の差になっています。

手数料1%がリターンに与える影響

ロボットだろうと何だろうとインデックス投資に手数料1%は高い

WealthNaviは、ロボット運用とは言っても、簡単に言ってしまうと、

  • 低コストな米国ETFを活用したバランス型のインデックス投資

でしかありません。リスク許容度は5パターンあり、パターンごとに資産構成比は異なるものの、バランス型の投資信託が株式比率によって複数のバリエーションを出しているのと似たようなものです。

たくさんの個人を相手に、個別に最適な取引を自動でやってくれる、という事はテクノロジー面では素晴らしいですし、まだまだ可能性のあるサービスだと思います。

しかし、単にインデックス投資をしたいだけなら、自分でポートフォリオを決めてコストの低いインデックス投信を複数選んで毎月自動積立をした方が、現時点では手数料は圧倒的に下げられるはずです。

とはいえ、自分でポートフォリオを決める、という点が実は一番重要でハードルが高い部分ではあるので、そこを簡単な質問に対する回答で決めてくれた上で、自動で運用してくれる、という利便性においては優れていると思います。

WealthNaviと同じ事を自分でやったらどうなるのか?

では、WealthNaviが教えてくれた推奨ポートフォリオを自分で運用しようと思ったらどうなるんでしょうか?よくある質問にも、

Q. シミュレーション結果をそのまま他の証券会社で取引してよいのでしょうか?
A. もちろん他社でお取引いただくことも可能ですが、推奨ポートフォリオを簡単な操作で一括購入することができるだけでなく、自動リバランス機能などもご利用いただけます。さらに今後も様々な機能を追加・改良してゆく予定ですので、ぜひWealthNaviをご利用ください。(一部抜粋)
参考:ウェルスナビ FAQ

こんな回答も載っており、自分で取引する事には問題ありません。自分で同じようにETFを買い続ける場合にコストがどのようになるかを計算してみようと思います。

シミュレーションの条件

計算はこのような条件で行います。

  • 初期投資30万円、毎月2万円、25年間運用を継続
  • リスク許容度4の推奨ポートフォリオを想定。このバランスに近くなるよう、少額であっても気にせず、ETFを毎月購入 →詳細後述
  • 期待リターンは年率6%(手数料控除前)
  • 海外ETFはSBI証券の通常口座で取引 →詳細後述
  • ETFの購入口数は、直近の単価から概算し、その口数の購入を続けると仮定(単価の上昇、分配金による購入分といった細かい事はいったん無視)
  • 計算上の為替レートは115円/ドルで固定
  • 手数料等にかかる消費税は8%で固定

対象のポートフォリオ

私がお勧めされたポートフォリオはリスク許容度4(リスクの高い方から2番目)でした。資産構成比は以下のようになっています。毎月2万円をこの配分に近くなるようにETFの購入を続ける、という試算をします。

リスク許容度4の推奨ポートフォリオ

年間24万円をこのポートフォリオに近くなるように買付を行おうとすると、以下の表のような買付になります。
あらかじめ断っておきますが、こんな少額で海外ETFの投資を継続したら売買手数料がかかりすぎるのが目に見えているので、普通はこんな買い方はしません。WealthNaviの手数料1%の価値を考えるためだけの試算です。

年間のETF購入口数・回数
銘柄 初回の購入口数 積立分の購入口数・回数(年間)
米国株(VTI) 7口 1口×6回
日欧株(VEA) 17口 1口×10回、2口×2回
新興国株(VWO) 5口 1口×4回
米国債券(AGG) 3口 1口×3回
金(GLD) 2口 1口×2回
不動産(IYR) 1口 1口×1回

海外ETFを購入すると発生するコスト

今回もSBI証券の通常口座でかかるコストを元にします。海外ETFを購入するのにかかるコストとしては、以下の2つです。

  • 売買手数料→0.45%(消費税別)。最低5ドル、上限20ドル
  • 為替手数料→1ドルあたり15銭(住信SBIネット銀行の外貨預金を利用)

少額投資の場合は、この売買手数料が大きく影響してきます。約1,111ドル以下だと、最低手数料に引っかかってしまうので、毎月2万円で、さらに銘柄を分散させようとしたら、各取引ごとに5ドル+消費税が発生するのはほぼ確実です。
この手数料をふまえて、先ほどのポートフォリオの買付をすると、毎年約1.7万円の手数料がかかります。24万円に対して1.7万円なので、約7%も手数料で持っていかれます。

ロボット vs. 手動の比較

WealthNaviの手数料と、無駄の多いやり方で手動でETFを買付し続ける場合の、支払い手数料の累計をグラフにするとこのようになります。いずれも単純に支払手数料だけを計算しており、手数料が発生した事によって投資額が目減りする事の影響などは無視しています。

WealthNaviと手動ETF買付の手数料比較

これは思っていた以上の結果でした。買付時の手数料として7%近くも発生させてしまう、かなり頭の悪い買い方をしているのに、9年目くらいには累計の手数料が逆転しています。25年間の累計では約100万円の差がついています。これは、

  • WealthNaviの手数料は資産の評価額に対してかかるため、指数関数的に手数料が増えて行く
  • 手動で買い付けた場合は、手数料がかかっても買付のタイミングだけにかかるので、資産規模に影響されない

という事が結果としてあらわれています。

手数料負けしそうな少額のETFの積立であっても、毎年1%の手数料がかかるより、長期間の運用では有利、という結果になりました。

もっと大きい金額を運用したらどうなるのか?

初期投資100万円、毎月5万円で同じ計算をしてみるとこんな感じです。手動で運用する方がさらに有利になります。最終的な差は250万円以上。

WealthNaviと手動ETF買付の手数料比較(初回100万円・毎月5万円)

WealthNaviはどういう人に向いているのか?

かなり意地悪な比較をしましたが、やはり長期運用において、1%というのはかなり大きいです。とは言っても、全くお勧めできないかというとそうでもないので、どういう人に向いているものなのかを簡単にまとめてみます。

おすすめしない人

こんな人にはロボアドバイザーは不要です。

  • 自分でポートフォリオを決められて、より安いインデックス投信等で運用できる
  • 暴落などのショックがあっても、最初に決めたルールを守り機械的な運用を続けられる
  • 既にインデックス投資をしている
  • 国際分散投資もしており、外貨建て資産をポートフォリオに組み入れている
  • 毎月分配型の投資信託、ラップ口座はいらないと分かっている
  • 怪しい金融商品には手は出さない
  • ロボットアドバイザーと言われても別に何とも思わない

要するに、投資経験がそれなりにあり、着実にポートフォリオ管理ができるような人にとってはあまり必要ないと思います。より低コストに同じような運用ができるはずです。

おすすめする人

より安い手数料で実現する方法があるとはいえ、手数料を差し引いても期待リターンは大きく、WealthNaviで実現できる投資スタイルそのものはおすすめできます。そういった観点では、

  • 自分でポートフォリオを決められないし、どうやって運用したらいいか分からない
  • 暴落などがあったら、自分で運用なんてできる気がしない
  • よく分からないけど、銀行や証券会社の窓口でおすすめされている投資信託を購入している
  • 外貨資産といえば、外貨建ての変額保険くらいである
  • 毎月分配型はお得な気がする、もしくは、ラップ口座に魅力を感じる
  • 怪しい金融商品とかに手を出そうか迷ってる
  • ロボットアドバイザーという響きに惹かれる →私はこれw

というような人にはおすすめできます。「ロボ」に反応する人を除けば、投資の初心者には向いていると思います。また、投資経験がある人であっても、ファンドマネージャー気分が少し味わえる、というのも、結果には何の影響もありませんが楽しいポイントの一つです。

意地悪な比較だったのでWealthNaviの手数料が高すぎるように見えてしまったかもしれませんが、下手な投資信託に手を出すよりも手数料としては割安です。いまだに一部の投資信託は信じられないくらいの手数料がかかりますので、それを買うくらいならWealthNaviの方が良いでしょう。

とりあえず少額から運用をしてみて、WealthNaviが何をやっているのか理解できるようになれば、次のステップに進めるのではないでしょうか。投資を始めてみる場合の一つの選択肢としては面白いのでは?と思います。

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